意志と要求をはぐくむ(4)
赤ちゃんは意志と欲求をもって生まれてきます。
「見たい、聞きたい、知りたい、さわりたい」と、意志や欲求だらけといってもいいくらいです。「面白い」と思ったものは、「面白かった。またしたい…」と、飽きるまで何度も繰り返し行動します。
意志や欲求は自分の中からわきあがってくる好奇心です。この時期は、できるだけ意志や欲求をかなえてあげてください。
注意して頂きたいことは、先走らないことです。
たとえば、公園でアリンコを一生懸命見ている子どもに、「ホラ、ヒコーキよ!」と、空のほうを指さして飛行機を教えようとします。でも、今は草の下を歩いているアリンコに興味があるのです。親のペースで興味を誘導しないでください。
また、子どもより先に、「つぎは滑り台」、「つぎはブランコ」と、親の言うとおりに誘導しすぎると、子どもの本来持っている意志や欲求をはぐくむことにはなりません。飲みたくない水を「そろそろノドがかわいたでしょ」と、たずなを引っ張って川に連れて行き、無理やり水を飲ませるようなものです。
水を飲ませようと思っても、ノドが乾いていなければ、馬は水を飲みません。引っ張った力は徒労に終わってしまいます。
「転ばぬ先の杖」で、どうしても道先案内をしたくなるものです。しかし、誘導をし過ぎると、「どうせお母さんの言うとおりにさせるんでしょ」と、親任せで自分で考えない子になってしまいがちです。
「教育」という漢字がありますが、「教える」より「育つ」のほうが優先するのです。
中国の古典「孟子」の中に、「ある宋人が畑の苗が成長しないのを憂い、成長させようと1本1本の苗を一生懸命に引っ張って帰宅したそうです。その話を聞いて『おかしい』と思った家の人が畑を見に行くと、苗はすべて枯れていた」という話があります。
自然に育つ成長エネルギーより、もっと成長させようと思って親のペースで引っ張っても、成長の特効薬にはなりません。
子どもの中から本当にわきあがってくる意志や要求を大切にしましょう。
子どもの持つ内に秘めた可能性を引き出すには、子どものペースで、生まれながらに持っている1人1人の意志と欲求の能力をはぐくむほうが効果があります。
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